日常にスパイスを(フランス徒然日記 最終章)
こんにちは。
お料理教室Table Bourgeons...の和実です。
月が変わって11月。
実は昨日まで子供たちのヴァカンスだった我が家。2週間のヴァカンス中にはお稽古の発表会や合宿、公立小学校の運動会などと次から次へと子供のイベント行事があり、自分で言うのもなんですがなかなかの家族孝行の日々でした!自身の入院期間を経ての今なので、こうして母業を全うできていることも嬉しいですし、晴れ舞台での子供たちの成長にも感無量。この気持ちを忘れぬまま今日からの日常生活も過ごしたいものです。
今月からはいよいよレッスンも再開しますので、いままでののんびりモードからは打って変わって、タスクにも追われることでしょう。その前に今日は途中で止まっていたフランス徒然日記を綴り、これを最終章として締めくくろうと思います。
最終章ではフランスでの外食忘備録を記事にまとめます。
まずは、ロワールの田舎町にあるミシュラン1つ星レストラン《EZIA》。過去のブログでもすでに登場させているのでブログ読者の方にはお馴染みの店。2年前に発見してからというもの、帰省の度に訪れているいわば私の行きつけの店なのですが、3年目にして初めて主人を連れて行きました。と書くとまるで私が意地悪をしているように聞こえますが、実際には今まで誘っても彼がのってこなかっただけ!!何しろ外へ出たがらないのですから。今年もここへは一人でも行こうと決めていたのですが、なんと今年は主人も乗り気になりました。両親との居候期間が長かった今回の帰省は義父母もお疲れ気味だったので、彼らを労わる意味もあってのことですが、、、どんな魂胆があったとしても私には嬉しい外食に違いありません!久しぶりに夫婦で向かい合って、ワイングラス片手に美味しい食事をゆっくり時間をかけて味わい、しっぽり大人だけの時間を楽しみました。そういえば最近夫婦の時間も取れていなかったねと、お互い反省も交えて。
このレストランはクラシックな重いフレンチではなく軽いテイストが気に入っているのですが、今回はサバの炙りやトロのグリルなど、日本食に通ずるラインナップも多かったように思います。食事内容はかれこれもう3か月も前のことなので、熱く語れるほど覚えていないのが正直なところ。なので写真掲載だけに留めておきますが、やはりメインの一皿だけは特筆しておきたい!
ゆっくり時間をかけて低温で火入れしたのであろうジューシーで柔らかい胸肉と、皮面を香ばしく焼き上げたモモ肉。別々の火入れで仕上げられていて、各部位の美味しさが最大限に引き出されていました。
写真でお気づきの方もいらっしゃるかな?メインに選んだのはピジョンです。訳すと日本語で「鳩」。そう、鳩肉!日本ではなかなかお目にかかれませんが、フレンチではよく提供される食材の一つです。実は鳥類が苦手な私は特に鳩が大大大嫌い。道で出くわしても逃げ回っては「キャーキャー」騒いでいますが、食材としてなら話は別!ただ、初めて食べたときはやはり恐々いただいたことを今でも覚えています。鳩の容姿を連想するだけでもぞわぞわするのに、鶏肉と違って鮮やかな赤身肉なことにもかなりの衝撃をうけたこと。ただその時はモナコ旅行中で、かの有名なシェフ”アランデュカス”氏のレストランでおすすめされたお皿だったのがまさにピジョンだったから。有名シェフの名にかけて絶対美味しいであろうという信頼のもと、チャレンジするなら今しかないと思い切ったものです。
鳩は都会でたくましく生き、病原菌持ちな汚いイメージがありますが、食用鳩はしっかり管理された家畜もの。でも日本では馴染みがないので抵抗がある方も多いかもしれません。ですが美味しく調理されたピジョンは臭みもなく身はジューシーで、ステーキに通ずるものがあります。脂肪分も少なくビタミンBや鉄分などの栄養価も高い優れた食材。もし信頼できるお店でピジョンに出会えたのなら、是非トライしてみて!
もう一軒ロワールの田舎で地元の人達に愛されているらしいレストラン《DOMUS》へ。EZIAよりも気軽に(雰囲気的にも値段的にも)利用できるレストラン。こちらも若きシェフが頑張っている模様で、ついつい応援したくなります。店内のデコレーションがどことなく寒々としているのが残念な点ではありますが、この日も満席で店内は賑わっておりました。
お料理はどのお料理も美味しく頂きましたが、ここでの発見としては前菜でソローニュ地方で獲れたというチョウザメをいただいたこと。キャビアで有名なチョウザメが身近な場所で生育していることにも驚きましたが、身を食したのも初めて。癖のない淡泊な味は、添え物のコールラビのピクルスといいコンビネーションでした。
最後にどうしても紹介したいお店をもう一軒。
《Chez Lucette》という名のビストロ。田舎の家から街へ出かける際に車で通過する大通り沿いに新しくお目見えしていて、どことなく惹かれるものがあったお店。タイミングよくご飯時に通りがかって家族で来店。店内に入ると大通り沿いにあることなど微塵も感じさせない温かみがあり、お洒落感も感じさせつつレトロな雰囲気もあって入店してすぐ好印象!赤白のギンガムチェックのテーブルクロスやベルベット生地のソファはビストロのイメージそのものだし、キビキビ動き回るギャルソンもいて、ますます惹きつけられました。
肝心のお料理はというと、メニュー内容はクラシックな定番ビストロメニューが勢ぞろい。私たちは前菜に豚肉のリエット、オイルサーディンを頼んで家族でシェア。フランスではあまりシェアする習慣がないのですが、嫌な顔をすることもなく取り皿を持ってきてくれたり、パンも気前よくおかわりをどんどん持ってきてくれるのもポイントが高い点!リエットの味は間違いのない美味しさと迫力すら感じるボリューム、そして付け合わせのサラダのドレッシングの味つけまでもが完璧!
面白いのがオイルサーディン。まさかの、缶ごとサーブされてびっくり仰天!軽く温めてネギを散らしただけ。でも文句なしに美味しいところ、そしてそんな飾らないサービスがまたまたツボ。オイルまで美味しくて、みんなでパンに浸して最後の一滴まで頂きました。
メインは「バヴェットステーキ、エシャロットソース」。これまたシンプルに美味しい!バヴェットは日本語名でハラミ。焼肉でも人気の部位なので、皆さんも一気に親近感が沸いたのではないでしょうか?脂身も少なく程よい弾力がありながらも柔らかい肉質で、フランスでも人気の部位です。甘めのエシャロットソースとよくマッチしていました。このお店では、厳選されたお肉やチキンをはじめとする食材は細かく産地を明記する徹底ぶりで、そういったところも好印象。付け合わせはフライドポテトやサラダ、季節の野菜などチョイスでき、私は夏野菜をお願いしました。
どのお料理も美味しくボリューミーで、みんなの食べたいものが何かしら見つかるラインナップなメニュー表。気取らず通えるこここそがまさに私たち家族の行きつけの店になるべき!と家族全員意気投合。そんなビストロに田舎近辺で出会えたことが、嬉しくてうれしくて。
レストランで美味しい食事を楽しむ時間。それは単調になりがちな田舎生活にスパイスを与えてくれました。このビストロを思い出すだけで、すでに次回のフランス帰省が楽しみになっています!
自分が感じたこの感覚を、私はお料理教室を通して皆さんに提供する側になれているのかな?少しでも皆さんの日常生活にスパイスと彩りをお届けできていたら嬉しいのですが。
ちなみに私たち夫婦で外食の日は、もちろん子供達は義父母にお願いして出かけることになるのです。ではそれがどうして義父母の羽休めになっているのかというと、まず第一に私がいないほうが義母の食事に対する気負いが無くなるから。そして義父母のリズムで時間の流れを作ることが出来るから。私たちがいると親子どいえどもやはりお互いに気を遣うものです。良い点はそれだけにとどまらず、子供達と祖父母だけの時間が自ずと出来るし、不思議なことに親がいるいないで子供の態度も変わるのです。そんな日の彼らの夕食はとにかく簡単なもの。例えばフライドポテトと茹で上げソーセージ。下手したらポテトチップスが食卓に並ぶこともあるほどで、いわばスナックディナーです。そりゃ子供は喜ぶでしょうけれど、確かにその内容は私がその場にいたらはっきり言って嫌だなあ!でもたまのことですし、それが特別感を与えているのもまた事実なので、私もスナックディナーには目をつぶり、ぐっと我慢してお口チャック!そうして早々に食事を終えた彼らは、大スクリーンでホームシネマを楽しむというのがお決まりの過ごし方です。子供達も義父母も、それはそれはこの時間を楽しみにしています。
義父母も年を重ね、老いは否めませんのであまり負担はかけられませんが、子供達との時間を楽しんでもらえているのなら、この上ない親孝行なのではないかしら、と自分に都合のよい解釈をしております!。
さて、5回にわたってお届けしておりました2024年帰省の「フランス徒然日記」は、これにてお終い。
華やかさとは無縁の田舎ですが、それこそがリアルなフランスでの暮らし。全身でフランスのエスプリを吸収した5週間でした。そのエスプリをあちこちに散りばめながらいよいよ今週からレッスンの再開です。皆様にお楽しみいただけますように。
セレクトレッスンは満席となりました。
11月の通常レッスンはお席残り僅か。ご都合つく方は是非遊びにいらしてくださいね。
*前菜はキッシュで確定です。
11月レッスン空席状況
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今日も最後までお読みいただき、有難うございました。
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